清水信博

2018年4月20日

頭の良い者は

私の母親は大変頭の良い人でした。

父親が52歳で急死した際には、臨時で社長を努めましたが数年で社長交代。

以後、会社に顔を出すことはありませんでした。

また幹部社員を呼んで指示することもなく、自分の暮らしに徹しました。

ですが繁忙期にはパンや牛乳を百数十人分も何度も差入れをしていました。

こうして繁忙期に差入れをすることで、幹部社員が悪さをすることを暗に防いでいると聞いたものです。

頭がいい人は、叱り飛ばして組織を制御するのでもなく、単なる優しさだけでもなく、ちゃんと計算づくで行動しているのだと驚いたものです。

頭の悪い者は、辞めても何度も会社に来ては部下だったものの仕事の邪魔をします。

最初は快く迎えた側も、そう何度も来られたのではたまったものではありません。

やがては、誰も応対しなくなります。

そうして本人も気づいて、会社に来なくなるのです。

定年になった途端に、奥さんの尻を追いかけて嫌われるのも同じようなもので、「本人がやるべきことが無い」からです。

趣味でもいいし、第二の仕事でもいいし、ボランティアでも構いませんが、とにかく自分が何をやっていいかが分からないから過去にしがみつくことになります。

社員は会社を辞めたら、さっさと自分が本当にやりたかった事を始めるのですから勤めていた会社になんか来ようと思いません。それが正しいのです。

経営では、事業の多角化とか、事業の柱を数本もっていたほうがいいと言いながら、定年退職になってみると、仕事一辺倒で1本しか選択肢が無かったというのは、お粗末なことです。