清水信博

2018年4月22日

意思決定

■DoNothing

-----------------------

何よりもまず「何もしないこと」が最初にくる。

DoNothingが「もったいない」と思うのはゲーム上のことであって、実際の経営では、「ひと呼吸置く」為にDoNothingは必要なのである。

あわてて、急いで、あおられての意思決定は、大概間違ったものになる。少し熟考する時間がリーダーには必要である。

電光石火のごとく動くリーダーは、何でもかんでも自分で意思決定はしないし、あんがい余裕を持って動いているものである。だが傍からみると「凄い速度で動いている」と見える。

一方、何でもかんでも早くと意思決定をしているリーダーは、案外速度は遅い。

部下が何か言ってきたら、「それは、いいなぁ」と言うが、やるかどうかは言わない。やるかどうかは、少し時間をかけて検討するのが正しい。

部下が言ってきた時は、当人は頭が熱くなっているので、少し冷ましてやると、「案外、いいアイデアでないかも?」となることもある。頭がクールでないと正しい判断はできない。

■廃棄

---------

最もリスクが小さい改善は「廃棄」である。

どうして、こんなに効果があって、リスクが小さく、費用がかからないものを経営者は真っ先にやらないのだろうか?

だいたい、リスクが大きく、効果が不明で、お金ばかりかかる「派手な」改善をやりたがる。だから儲からないのだ。

廃棄はモノも情報も、事業もプロジェクトも、思考も全てに関わってくる。

人間よりも大事なものなどないのであるから、儲からない事業や、いつまでやっても成果のないプロジェクトなどは真っ先に切り捨てるのが正しい。

こういう時に切り捨てる事ができない経営者は、どんなに立派な事を言おうが「経営者失格」である。

つまり優先順位でいけば、事業が一番で、人間が二番目以降になっているということを言ってるに過ぎない。

こういう自己矛盾が起きている経営者は、意思決定ができていない者ということになる。

私はこうした「廃棄できない経営者」を数多く見てきた。

彼らは、何一つ切り捨てることができず、まるで腰に空き缶やゴミ、タイヤをつないで引きずるように走っている。

だから経営速度も利益速度も上がらないどころか、

並走している社員は悲惨なものである。

どれだけ力を込めて並走しようが、努力しようが、報われないことは必定なのだから。

TOCよりも先にやることがある。

それが「廃棄」である。

まず、徹底的に無駄を排除し(廃棄)、軽くなった組織で、走り始めなければTOCの成果も出ない。

TOCで失敗する組織は、「アレもコレも、やめずに、全てを持ったまま」で走ろうとして、転んでいる。

私が「TOCでどうしても成果が出なければ環境整備をやりなさい」と言ってるのはこのことがあるからで、それは「まず廃棄が先」と言ってるのである。