清水信博

2018年11月30日

原価率を守ることに意味はない

飲食業界などでは原価率を3割におさえろという。
 

 
「半値、八掛け、二割引き」という言葉があるが、半値は50%、その八掛けは40%、さらに二割引きが32%となるから、最後は飲食業界の原価率と似てくる。
 

 

 
結論からいえば、この原価率死守は全く意味がないどころか大嘘である。

まず、3割を守ったら利益が出るという保証はない。
 

 
都会と田舎では人件費も経費も異なるし、店によって正社員が多いところとアルバイト、パートだけの店もある。
 

 
チェーン店もあれば個人店もある。
 

 
だから百社百様にもかかわらず、全て同じ原価率である「はず」がない。
 

 

 
ところがこれを金科玉条のごとく死守しているから、潰れる店は、まず味がまずくなる。

次にメニューが固定化されて、まずいのに値段が上がる。接客も悪くなる。店が汚くなる・・・・
 

 
お客はというと、黙って行かなくなるだけなので減る。

店主は「最近お客が減ったなぁ」と言う。

お客が減るのには必ずワケがある。


 

 
頭のいい店主は、原価率など無視する。
 

 
儲かるものと、出血サービスの組み合わせで考える。

メニューも環境整備で、人気がないものはやめて、新しい商品を加える。
 

店はむやみに広げすぎることもない。
 

 
人間も必要最低限で、商品に投資している。
 

 
店は内外ともに。いつもきれいで磨き込んでいる。

儲かっているから店員の挨拶も良い。
 

 
こうなればお客も増える。

というくらい違う。

両者は「何に投資をするのか」というところが根本的に違う。
 

 
原価率を守るのは守りの経営であり、攻めの経営ではない。
 

 
そして継続性の原理でもない。
 

 

 
お店が投資するのは、「お客様を増やす」ことに費やすことであって、内部管理などで投資という名の浪費をしてはいけない。

そもそも「原価率」など内部管理でしかない。

そのようなものは、お客様は無関係なのである。

この年末、倒産する店が増えてきている。
 

 
単価(P)は変えずに、思い切って原価(V)をかけるという意思決定ができる店が出たら良いのに・・・