清水信博

2019年2月6日

人件費の流動化、変動費化

人件費の流動化・変動費化が叫ばれていた頃があったが、この考え方はすぐに破綻した。
 

 

 
働く者にとって人件費は生活の糧であり、それが続いてこそ生活の安定もあり、上昇してこそより豊かな生活を営めることになる。経営者はこの社員の生活の安定と向上に寄与することが何よりも大切なことである。
 

 
これなくして社会的貢献も納税もあり得ない。
 

 
顧客満足度向上もこの実現のための必要条件であり満足度向上が企業のGOALではない。
 

 

 
パート、アルバイト、季節労働者、契約社員等々を、いつでも切ることができるもしくは成果に応じて人件費を払えるのだからという態度は、この人件費の流動化が広がった悪しき思考だと私は考える。
 

 
欧米はいざしらず、この日本においては、ともに働く人としてその暮らしを脅かすような真似をしてはならないと思う。
 

 

 
そもそも流動化しなければならないほど、その会社は瀕死の状態にあることを認識し、企業改革の手を打つのが先ではないか。
 

 
流動化という格好のいい名前であるが、やっていることは非人間的対処そのものだと私は思う。
 

 

 
非人間的対処をした相手が、巡り巡って「お客様に変貌する」ことはよくある。
 

 
情けは人の為ならず、という言葉に示されるように、巡り巡ってかけた情けは自分に返ってくるように、人件費の流動化も自らに返ってくることはある。