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  • 執筆者の写真清水信博

変動(ばらつき)の世界


弓で的を射ることでいえば、的から大きく外れてしまうのは異常原因であって、どうして外れたのかの理由は本人は分かっています。(予測可能) 一方、的の中心から少し外れるのは偶然が原因(偶然原因)であって、風が少し強かったというように予測不可能な原因です。 プロの選手でも常に的の「真ん中」に当たり続けることはありません。 これが変動、つまり「ばらつき」の世界です。 私達は仕事でも何でも完璧を求めたがりますが、予測可能な要因と、予測不可能な要因によって、常に「的の真ん中を射つづけること」はできないのです。 例えば生産管理でも、プロジェクト管理でも、思ったとおりいかないのが当たり前です。 もし思い通りできるとしたならば、とてつもないコストがかかるでしょう。

そのコストアップに企業は耐えきれずに巨額の損失を出すことになります。

そして得られる利益はほんの少ししかありません。 私は過去に、コンピュータで生産管理を行うために高価なオフコンを買い、全く機能せず転売した経験があります。 だからこそこの「変動」を認めてしまえば、無駄な投資をせずに済むのです。 もっと簡単な、無投資の、思考の転換で、複雑にからみあった生産管理の問題は必ず解けます。

それがTOC(制約理論)です。 さて、普段の様々な事象、生活の中でも、この変動(ばらつき)の場面に遭遇します。 品質管理では管理の上限(UCL)、下限(LCL)を超えたものを異常原因として対処しますが、上限と下限のの内側(偶然原因)については対処しません。

つまり、感度が敏感すぎては品質管理はできないので、ある程度鈍感であったほうが良いということです。 ばらつき を許す、認める、いえ積極的に活かしていくという態度が「余裕」の正体であり、ハンドルの遊びなど、重要な意味合いをもっていることに気付くと、複雑なモデルを解く鍵となることが分かってきます。


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