■業務フローの描き方

May 13, 2018

                        2003.12.18

                ソフトパワー研究所 所長 清水 信博

■描き方
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 個人や集団での仕事のやり方をOPENに、しかも具体的かつビジュアルに描いて共通認識と継続的改善を促す「業務フロー図作成」は随所で役立つ。しかしながら、仕事を分析して、整理整頓しながら、模造紙に描いていくという作業は時間も手間もかかるために、なかなか実施されてはいない。

 
 そこで、今回は業務フローの描き方のポイントについて話していきます。
 

(1)情報収集
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 個人でも集団でも、業務フローを描く場合、情報収集は、自分自身で仕事を想定して、ポストイットなどで書き出していくという方法が多い。ところがその方式はスピードが遅く、不正確な場合が多い。通常、筆記するよりも思考スピードのほうが速いため、書いているうちに思考は飛んでしまう。

 そこで、「筆記役」を設定して、その人にまとめてもらうのが良い。

 とくに、ベテランと称する人たちは、口より手より頭の回転が速いので、口述筆記を採用して、ベテランには現状を話すだけにさせたほうが効率がいい。

しかも気分もいいから口も軽くなる。

 そのベテランが話すことを筆記するのは、一般社員もしくは新入社員がいい。

 その理由は後で述べるが、これが人材育成につながってゆく。

 

 
(2)展開
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 ポストイットで仕事内容を書き出したら、次はそれらを展開していく。

 

 まず、模造紙にポストイットを貼り、図式化していく。
 この際重要なことは、「フォーマットの統一」である。

 各仕事・職場ごとにフォーマットが異なっていたのでは、行く先々でいちから説明を聞かなければならない。これでは効率が悪いし、配置転換もできない。
 そこで全体のフォーマットをマイツールのように上は罫線二本、下は一本という具合にフォーマットを統一する。

 私が薦めているのは、模造紙の左上から右上に太線を一本ひいて、「私の仕事をおおまかにいうと」という具合に5個か6個の仕事を並べる。
 その個々の仕事の下側には、「詳しくいうと・・」という具合に細目を並べていく方法をとっている。コンピュータでいえば、エクスプローラー方式で業務フローを描くようにしている。

 

 
(3)図・イラスト多用、ビジュアルに、データも加える
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 文字だけの業務フローは色気がない。そこでイラストなどを入れて、「見て一発でわかる」という方法を取り入れる。トヨタ方式もそうらしい。
 
 情報には「5W2H」が重要であるので、誰が、いつ、いくらで、何時間といった具合にデータも加えていけば本格的な業務フローができあがり、これがあればISOだろうがJQAだろうがすぐに取得できるようになる。もっともこれは副産物だが。

 

 
(4)赤ペン君
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 できあがった業務フローにケチをつけるのはベテランであり、社員だ。模造紙に描きあがったら、すぐに全員を集めてケチをつけてもらう。

「ここが違う」「こういう流れもあるよ」という具合にケチをつけたら、赤ペンをドンドンいれていってもらうのが正しい。

 赤ペンだらけになったら、また清書して掲示してケチをつけてもらう。この繰り返しで、さすがのベテランもケチをつけなくなれば、それが正しい「現状分析」であるということになる。
 またケチをつけていく段階で、違った方法でやっている人は内心驚くだろうし、あわてて軌道修正もするかもしれない。こうして、バラバラであった仕事のやり方を整えていく。
  

 
(5)継続的改善
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 赤ペン君は学生時代で卒業したかもしれないが、社会に出れば一生赤ペン君とは付き合わなければならない。それを継続的改善という。

 

 それから、赤ペンで真っ赤になった業務フロー図は決して捨ててはならない。

 

 なぜならば、それはその会社の歴史であるから。歴史を抹消してはならない。捨ててしまえばダメな過去を批判できなくなる。

 

 ダメな過去を真正面から眺めることで、私たちはさらに前に進んでいくことができる。
 
 
■短期人材育成
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 勘の良い方はもう気付かれたと思うが、以上の業務フロー作成のために、口述筆記を新入社員や一般社員にやらせるのには意味がある。

 単に役職が下だから面倒な作業は新人にやらせておけというのではない。

仕事を教えるためにやっているのである。しかもOJTではない。OFF the Job Trainingである。

 昔から「仕事は見て覚えるものだ」と言われてきた。
たしかに最初から本番をやらせるわけにはいかないから、準備運動のような作業をやらせながら眼で覚えろというのは正しい。

 だが、いつまで経っても眼で覚えろというのは間違っている。

 いつかは本番をやらせなければ一人前にはならないのだから、できるだけ早く一人前のビジネスマンに仕立て上げなければならない。それがベテランの役割であり、教育Edunation=引っ張り挙げるという言葉の意味である。

 さて、ベテランの口述筆記をしながら、それを図式展開して、ケチをつけられていくうちに新入社員は組織の全体をつかめるようになる。自分の位置づけも理解できるようになれば、他人の位置なども分かってくる。

 しかも、さんざんケチをつけられながらも、業務フロー図が研磨されて、いいものに仕上がってくれば、みんなが何かしらの言葉もかけてくれるかもしれない。

新人に対して「よくやったね!」などと。

それは僕の希望的観測だろうか?

              ◆

 僕としては、この業務フロー作成は三ヶ月で完成したいと思っている。

 最初の一ヶ月目で現状分析、二ヶ月目で展開とケチつけ、三ヶ月目にはデータ集計、全員での確認、仕事の練習という具合に。小集団活動・プロジェクト活動に相当するかもしれないが、期限をきって人材を育成していくことも業務フロー作成の中には加味していきたいと思っている。

 
■仕事は複利計算でいけ
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 僕の耳に残っている言葉があって、それは師匠であった藤坂先生がいつも「仕事は複利計算でやるものだ」ということを言っておられた。

 ひとつのことをやったときに、ひとつの答えが返ってくるのでは足りない。ひとつのことをやったら、それが相乗効果を発揮して、もうひとつ生み出すように仕事は進めなければならないということだったと思っている。

業務フローを描くことは、たしかに効果はある。

 しかし、それがその目的だけで完結するのはダメだ。
 描く過程でもなんらかの効果を発揮し、描いた後もまた効果を発揮し、それが連綿と連なるように「価値を創造」していかなければならない。

 投資問題も同じで、100万投資して100万バックするのはダメだ。
100万投資して、200万バックするのが、秋田の千葉ちゃんと話していたときに考えた投資資産利益率(ROII)だった。それも全く同じことだと思う。

 

 何事も単発で終わってはいけない。

 単発を繰り返すのは経営ではない、それは単なる「売り買い」でしかない。

 

 業務フロー図も毎年のように全員で話し合って、書き換えて、変化し、シンプルになっていくことが「企業進化」ということである。

いずれにしても、これから業務フローにチャレンジしようという方々に
とってご参考になればと思って今回は書きました。

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