業務フロー図、1枚で表現できなければ失敗
TOC研修後に業務フロー図を作成します。これは「仕事の棚卸し」です。
全員が案外知っていると思って分かっていないのが「仕事の流れ」です。全員で業務フロー図を描いてケチをつけたらもう大変!。
全員違う仕事の流れだったということは良く起こります。
営業マンの見積もり手順も全員違っていることや、経理事務も営業所ごとに異なっていることもあります。
とにかく「頭で分かった気になっている」わけですから、品質がバラつくのは不思議ではありません。
その業務フロー図作成ですが、
ある時、優秀な経理の女性が経理事務・在庫管理・工程管理・見積書作成まで全てをこなすスーパーウーマンでした。
そのため業務フロー図を描くとなったら、「そのチャートを10枚ください。ポストイットも100枚」と言いました。
その瞬間に「この会社はダメだな」と思いました。
たった一人の人間があらゆる事をこなす、すべて知っているというのは企業にとっては致命傷です。
まず人は育たないし、仕事は見えないし、社員は奴隷化している可能性が高いと思ったほうがいいです。
そこで業務フロー図は、
①1枚で描けるくらい「シンプル」な、モノの見方、説明ができることが大事です。シンプルであるということは、その人はその仕事を良く理解しているということです。
回路図のような複雑な業務フロー図を描いてる人は、まだまだその仕事の本質を理解できてはいません。
②たとえ1枚であったとしても、その中もシンプルであることが大事です。
私の仕事は「これです」と、一言で言えるかどうか。
マルチタスク(掛け持ち仕事)の弊害は、ここでも現れます。
そして、
業務フロー図は、仕事の棚卸であり、全員の再確認、ボトルネックの発見とつながっていきますが、
少し細分化(文章などをリンク)することにより、マニュアルにもなります。
これは業務フロー作成の副産物であり、当初からマニュアル作成を狙っていたのではありませんが、文章や写真などを入れたマニュアルともリンク可能であることが分かってきました。(2003年より)
また業務フロー図は
経理担当者は、月を横軸に取り、決算月の前に決算処理という列を作れば、経理業務のマトリックス表となります。
このように、全社からはじまって、各部門単位など、考えられる仕事は全員で話し合って「業務フロー図」を作成することが、共通認識、共通言語のスタートラインとなります。
やがて業務フロー図は、自社のサーバーなどに入れて、いつでも、どこでも、誰でも閲覧可能とすることで、仕事の引継書にもなっていきます。
何よりも、いつまでもアレコレ他人に仕事を聞かなくても良いということは、ベテランの手を休めず、最速の人材育成につながっていきます。
この業務フロー図をTOC研修に加えたのは、「仕事は全員が分かっているだろうとか、いまさら確認しなくても・・」といった思い込みが、最初から間違っていた。
という事があったからです。
じつは、誰一人として仕事の流れは分かっていなかった、という恐ろしい事実が、このフロー図作成の原点でした。