清水信博

2018年5月8日

粗利益、限界利益、貢献利益、売上総利益

「おはなし経済性分析」伏見多美雄著 日本規格協会出版より

※以下の文章の用語にはMQ会計のPVQFGを加えました。

 よく注意して読むと、利益という用語もMであったり、MQであったり、Gである、という違いがあるのですが、要素法が知られていないために全て「利益」という言葉で紹介されています。これでは素人が理解できないのは当然ですね。

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 一般に、販売収益(PQ)から変動費(VQ)を差し引いた金額を“粗利益(gross margin) ”と呼びますが、これとほとんど同じ意味で”限界利益(marginal profit)”という言葉も使われています。

 ただし、理論的に厳密な分析をするときの経済用語としては、限界利益とは、ある活動水準(activity level)ーたとえば生産量(Q)、販売量(Q)、売上金額(PQ)、投入時間(H)、投資金額などの大きさーを1単位変化させた場合の利益(MQ)の変化分を意味する言葉です。限界費用(VQ)とか限界収益(MQ)という場合も同じです。

 したがって、たとえば操業水準を増加させるにつれて商品の売価(P)を引き下げ、単位当たりの粗利益(M)を下げていくという場合には「限界利益が逓減(ていげん)する」といいます、このゆに、限界利益という言葉は本来は利益(MQ)の変化分を指す用語なのですが、最近の経営実務では粗利益と同じ内容のものを限界利益と呼ぶ場合も多いのです。

 管理会計の分野では”貢献利益(contribution margin)という言葉もよく使われます。この用語も粗利益(MQ)とほぼ同じ意味に使われることが多いのです。例えば1個4000円という粗利益(M)は、操業水準の低い段階では固定費(F)の回収に貢献し、固定費(F)を回収し終わった後(つまり損益分岐点を超えた後)は利益(G)を上げることに貢献するという性格をもっています。このような経営上の意味を強調するために貢献利益という用語が広まったのです。

実務では、業績評価の尺度として、ある部門またはプロジェクトが、全社利益(MQ)に対してどれだけ貢献したかを示す指標として貢献利益または利益貢献額という数値が使われる場合もあります。その場合は、一定期間のその部門の粗利益合計(MQ)からその部門固有の固定費(F)(直接固定費)を差し引いた値を貢献利益と呼ぶのが普通です。

(別資料より抜粋)

 売上総利益(MQ)とは、商品や製品の売上高(PQ)から、その売上原価(VQ)を差し引いた額で、会社の基本となる利益(MQ)であり、最も重要な利益(MQ)の源です。 損益計算書では、売上総利益(MQ)から販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益(G1)。 営業利益(G1)に営業外収益を加減したものが経常利益(G)になります