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清水信博

研究開発失敗とは


 エジソンは999回の失敗を乗り越えて1回の成功にたどり着いた、という有名な話があります。ですから我々も数多くの失敗を苦にせずチャレンジをしていくことだという教えなのでしょう。

ですが、私はそのような失敗の数は誰でもあるし、チャレンジもしていると思っています。

また研究開発失敗というと、なにか製品やサービスと考えがちですが、そうもいえないと思っています。

 某著名企業でのこと。

 その大企業はL●Dで大成功しました。

 その成功は、たった一人の研究者とスタッフだったと記憶していますが、特許も利益も名誉も企業が取り上げてしまいました。特別ボーナスも無く、その開発者は国外の企業に行ってしまいました。やがて裁判で負けた大企業は多額の賠償金を支払うことで和解したかに見えました。

研究開発の正体は「人」です。

製品やサービスなどではなく、あくまでも研究開発を続々と産み出していくのは人間の力にかかっています。

ですから研究開発失敗とは、「人材の流出」を意味しています。その会社に居る価値がない、認めてもらうことがないと分かれば、有能な開発者達は去っていき、やがて研究開発は枯渇します。そうなれば、どこかから周回遅れのノウハウを仕入れてきて切り売りするしかありません。

たとえ、どんな立派な企業理念を額に掲げて、唱和しようとも、成功を独り占めするような品格の無い会社に人が留まることはありません。

言葉は、行動や実体が伴ってはじめて意味を成すものです。

あの青チップが減ってしまうのは、運が悪かったと見るのか、この会社はフェアな会社で、働く人達を大事にしているのかそうでないのかと見るのか。それぞれの人の見方は勝手です。

案外、有名企業、高収益企業ともてはやされている会社で、品格に欠けたところがあるのはもったいないものです。

逆に中小零細企業であろうとも、研究開発失敗がほとんど無いところもあります。


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