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断る勇気

  • 執筆者の写真: 清水信博
    清水信博
  • 2018年6月1日
  • 読了時間: 2分

TOCを初めて知った後の、日本初の研修会で講師に質問をしました。

「印刷会社などで、上得意客からのどうしても断れない特急物件が来ることがあります。しかしながら工場は満杯で入れることすらままならないのですが・・」と質問したところ、即座に「それは断ればいいです」と。

驚いたのですが、よくよく考えてみると、物理的にどうにもできないものを、どうにかしようというのは虫のいい話です。

それ以上に、自分自身が優柔不断であるということです。

断ることは、全ての人に優しいことにもなります。

上得意客の物件を投入すれば、いま手がけている物件を押しのけて進んでいくので、他の物件はすべて遅れることになります。結局は全物件が納期割れのリスクを抱えます。

一方、上得意客の物件を流して間に合わなかったら、倍叱られます。最初から納期に間に合いませんと言ったほうが叱られなかったかもしれません。

叱られまいと、いい加減な対応そしたことが仇となります。

また、満杯の工場を動かすのですから、不要な残業も増え、事故も起こりかねません。

これらすべての不具合は、トップつまり経営者の優柔不断さが原因です。何でもすべて悪いのは経営者です。

ですから常にシステムは8割程度で回しておけというのは、こういう時のためであり、働く人も身体と精神を休めるアイドルタイムが必要であるからです。

フル操業は、最大のリスクを抱えた飛行といえます。

さて、断ることが嫌ならば、外注先や競争相手にも紹介する覚悟と前準備は必要です。

もしくは瞬時の対応で済ませるとしても、それが常態化しないように後で落ちつかせることです。(8割操業)

いずれにしても、物理的に無理なものは無理なのです。

その「あきらめ」の心は私は無欲だと思います。

どうやってもできないものを、なんとしても・・・ということが高じたのが太平洋戦争末期の参謀でした。

「窮すれば通ずではありません」、なんともならないのですから、あきらめて、とらわれている心を開放して、別の側面から冷静に見なければならないことがあります。

断る勇気は大事です。


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